申請しないともらえない、“特別障害者手当”という制度

家族が重い障害を抱えたとき、誰もが一度は直面する疑問があります。

「こんなに大変なのに、どうして支援の話が出てこないの?」

実はその理由の一つに、行政の“申請主義”という仕組みが関係しています。

目次

制度を知らなければ、受け取れない

「特別障害者手当」は、20歳以上で日常生活に常時特別な介護を要する重度の障害者に対して支給される、国の制度です。

支給額: 月額 28,840円(令和6年度現在)
所得制限: 世帯全体の所得に応じて支給制限あり
申請先: 住所地の市区町村役場・福祉課

ただしこの制度、自動的にはもらえません。 手帳や診断書が揃っていても、本人または家族が申請書を提出しなければ、支給は始まらないのです。

なぜ誰も教えてくれないのか

介護の現場でよく聞く言葉があります。

「ケアマネも医師もソーシャルワーカーも、誰も“特別障害者手当”のことを教えてくれなかった」

これは怠慢ではなく、制度が複雑すぎることが原因です。 福祉の支援は、国・県・市町村それぞれに分かれており、対象者の状態や収入、住民票の有無で受けられる制度が変わります。

たとえば:
同じ「有料老人ホーム」でも、
・医療行為を伴う“介護付き”の場合 → 施設入所とみなされ対象外
・外部サービス利用の“住宅型”の場合 → 在宅扱いで対象になることも

実際の窓口対応から見えたこと

今回、名古屋市近郊の役所では、「精神障害1級だけでは申請書を渡していない」という回答がありました。

しかし、厚生労働省の通知には「身体・知的・精神いずれの障害も対象」と明記されています。 つまり、市町村の判断で申請を拒否することはできません。

ポイント: 申請は「受理義務」があります。 拒まれた場合は、上位機関(都道府県障害福祉課)への相談も可能です。

“制度を調べる力”が前提になっている社会

制度を利用できる人と、できない人。 その違いは、“知っているかどうか”で分かれてしまいます。

制度は本来、誰もが等しくアクセスできるべきもの。 それなのに、調べる力・書類を読み解く力が求められてしまう現実があります。

福祉の世界には「自己申告がなければ支援できない」という壁があります。 でも、現場の人たち──ケアマネも医師もソーシャルワーカーも──は誰も悪くありません。

ただ制度が、あまりにも複雑で“人の善意”ではカバーしきれないのです。

この記事を読んでくれたあなたへ

もし身近に、重度の障害や認知症の方がいるなら、ぜひ一度「特別障害者手当」を調べてみてください。

参考リンク:
・厚生労働省|特別障害者手当について
・お住まいの市町村 福祉課(窓口で「特別障害者手当の申請書を出したい」と伝える)

申請しなければ、始まらない。 それが今の福祉制度の現実です。 だけど、知ることで、助けられる人が確かにいます。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次